年収100万円時代が来る？森永卓郎の考え方と生きのこりのヒント

「年収100万円時代」という言葉を聞くと、とても驚くかもしれません。これは、経済アナリストの森永卓郎さんが、「将来、多くの人の年収が100万円くらいになる可能性がある」と言っているものです。たくさん稼げる人はごく一部で、大多数はあまり稼げなくなるという社会を警告しています。実際、森永さんは昔から「サラリーマンの年収がだんだん下がっていく」と主張してきました。そして、今もその流れは続いていて、コロナなどの影響もあり、正社員でも年収200万円台や100万円台になる人が出ても不思議ではない、と言っています。

どうして年収100万円時代になるの？

森永さんによれば、この30年ほど続いた世界的な資本主義のしくみが、だんだんうまくいかなくなってきているそうです。そのせいで不況が続き、会社が倒産したりリストラされたりして、私たちの給料が減ってしまう可能性が高いんですね。日本では景気がなかなか良くならず、給料も上がりにくいままです。しかもコロナによって非正規の仕事が増えたり、ボーナスが減らされたりしているところもあるので、普通に働いていても収入が下がるケースがあるのです。

でも、森永さんは「ただ悲観するだけではなく、考え方を変えることが大事」と言っています。これからはライフスタイルをガラッと変えて、あまりお金がなくても元気に生きられるようにしよう、と呼びかけているのです。

年収100万円でも暮らせるの？

「年収100万円なんて無理！」と思う人も多いかもしれません。ですが、森永さんは「支出をなるべく減らして小さく暮らせば、意外といける」と考えています。例えば森永さんは、都心から電車で1時間半くらい離れた所に住み、必要な時だけ都心に行って仕事をしています。家賃が安い地域に住むことで、生活費を大きく下げることができますし、オンラインを使えば仕事を遠隔で続けることも可能です。

地方や郊外で暮らすメリットは、家賃だけではありません。たとえば農家から野菜を直接買ったり、自分で畑を借りて野菜を育てたりすれば、食費をグッと抑えられます。また、地域の人たちと仲良くして、ものを分け合ったりすることで、お金がかからない交流もできます。空気もきれいですし、自然に囲まれてのんびり暮らすのは、お金では買えない豊かさとも言えます。

もちろん、全員が田舎に住めるわけではないでしょう。それでも、都会にいながらでも出費を減らす工夫はできます。森永さんは、仕事先の大学（郊外）に行った時に安いスーパーで食材をまとめ買いして、都心の自分の事務所に持ち帰るそうです。特売日を狙えば、牛肉が100g99円くらいで買えることもあるとか。安いお店で買い物をする、セールを利用するなど、こまめな努力で食費は意外と減らせます。

森永さんの節約術はテレビ番組で紹介されたこともあります。1ヶ月1万円で生活する企画では、ロケで余ったお弁当を持ち帰って冷凍し、ほとんど食費をかけないで過ごせたそうです。普通の人にはちょっと大変そうですが、「恥ずかしい」という気持ちを捨てれば、食品ロスを減らすだけでなく、家計にも優しいやり方ですよね。

小さくても豊かに暮らす

森永さんが提案するのは「小さな暮らし」です。あまりお金をかけなくても、楽しく生活する方法はたくさんあります。買い物を減らして無駄遣いをやめることはもちろん、大切なのは「本当に自分に必要なものや時間って何だろう？」と考えることです。余計な趣味や贅沢を切り詰める代わりに、家族や友人と過ごす時間を増やしたり、自分のペースで働いたりすることで、心が満たされる人も多いでしょう。

実際、森永さん以外にも、年収100万円前後で暮らしている人はいます。作家の大原扁理さんは、東京近郊で週2回だけ働き、年収90万円ほどで数年間生活できていたそうです。投資などもしていなかったそうですが、「そんなにお金を使わなくても、案外楽しいよ」ということを体験で示しています。

収入を増やす工夫をしよう

年収100万円というと「とにかく節約しなきゃ！」と思いがちですが、同時に「どうやったら収入を上げられるかな？」とも考えると少し安心かもしれません。最近は副業を認める会社が増えてきたので、いろいろな働き方が可能になりました。文章を書くのが得意ならブログやライティングの仕事、イラストやデザインが得意ならクラウドソーシングでお金を稼ぐこともできます。ハンドメイドが好きならフリマアプリで販売するのもいいですね。

大切なのは、いきなり大きく稼ごうとせず、月1万円でも2万円でもいいからチャレンジしてみることです。続けていけばスキルが身に付き、もっと稼げるようになるかもしれません。また、正社員にこだわらずに複数の仕事を組み合わせるフリーランス的な働き方をする人も増えています。住む場所を変えて在宅ワークをするのも良い方法で、家賃を抑えながら収入を得ることができる場合もあります。

無理なくできる節約ポイント

ここで、普段の暮らしでできる簡単な節約をいくつか紹介します。

• 住む場所を見直す：家賃は毎月の支出の中でもとても大きいです。家賃が安い地域に引っ越す、実家に戻る、ルームシェアをするなどで家賃を減らせば、月々の負担がグッと下がります。家やローンがあるなら、繰り上げ返済や借り換えを検討してもいいでしょう。
• 食費を節約：外食やコンビニ飯を減らして自炊中心にするだけでも大幅に食費が減ります。安いスーパーや特売日を活用し、買った食材は小分けして冷凍するなど、無駄を減らせばかなりお得です。
• 光熱費や通信費をチェック：電気・ガス・水道代は、こまめに節電・節水するだけでなく、プランを見直すだけでも変わります。スマホも大手から格安SIMに変えると、月に数千円安くなる場合があります。インターネット回線も必要以上に高いプランにしていないか確認してみましょう。
• 娯楽や交際費も工夫する：お金をあまりかけなくても楽しむ方法を探してみましょう。映画や音楽はサブスクで楽しんだり、図書館で本を借りたり、無料イベントに参加したりできることはたくさんあります。外食せずにお互いの家で食事会をすると、費用も抑えられて仲が深まるかもしれません。

資産運用はどうする？

年収があまり高くないと投資は難しいかもしれませんが、少額でもコツコツと続ければ未来の不安が和らぎます。ただし、生活費がぎりぎりなのに株や仮想通貨で大きな勝負をするのは危険です。まずは、急な出費に備えた”生活防衛資金”を貯金しておくことが大事でしょう。その上で、毎月少しずつ積み立て投資をする「つみたてNISA」などの制度を使う方法もあります。無理なくコツコツ貯めることが安心への近道です。

お金以外の「豊かさ」を見つけよう

森永さんが言う「年収100万円時代」は、たしかに不安になる話です。でもこれは、新しい生き方を考えるチャンスでもあります。お金がなくても幸せに暮らす知恵を身につければ、どんな経済状況になっても振り回されずにすみます。大切なのは、お金がなくても楽しめることを見つけることです。家族や友人との時間や、自分の好きなことを極める喜び、自然の中で過ごす気持ちよさなどは、お金では買えません。

また、お金が少ない暮らしをすることで、無駄なものを買わなくなるメリットもあります。その分、自分にとって本当に大事なものを考え直すきっかけになるでしょう。贅沢をしない分、環境にも優しい暮らし方になるかもしれません。

年収が少なくなるかもしれないからといって、人生がつまらなくなるわけではありません。むしろ「身の丈にあった暮らし」を大切にすることで、今まで見落としていた小さな幸せを感じられるようになるはずです。将来が不安なら、今から少しずつ節約と副業を始めてみましょう。自分のペースで工夫すれば、年収100万円でも楽しく生きていける可能性は十分あります。「どうやって暮らすか」を自由に選べる時代になりつつあるのです。お金だけにとらわれず、自分らしい豊かさを追い求めてみてはいかがでしょうか？