はじめに
ひろゆき氏(本名:西村博之)は、日本で有名になった匿名掲示板「2ちゃんねる」を作った人です。今はYouTubeや本の出版などで活動し、「論破王」というあだ名でも知られています。そんな彼には、昔の裁判で負けて支払うように言われた損害賠償金を、実際には払わなかったという「踏み倒し」問題があります。ネットでは「30億円踏み倒した男」とも言われ、その内容に注目が集まっています。
この文章では、ひろゆき氏が賠償金を払わなかった理由や、どうしてそれができてしまったのか、そして今後はどうなるのかを簡単に説明します。
過去の裁判と賠償金
ひろゆき氏は、2ちゃんねるを管理していたときに、書き込みが原因でいろいろな人や会社から訴えられました。たとえば「誹謗中傷(ひどい悪口)が消されずに残っていた」という理由で、名誉を傷つけられたと主張する裁判が多かったのです。
裁判所は「削除しないのは管理者として問題がある」として、ひろゆき氏に損害賠償金を払うように命じました。企業との裁判なども含めて、合計すると約30億円もの金額になったと言われています。最初は裁判に出ていたひろゆき氏ですが、途中から裁判所の呼び出しに行かなくなり、欠席裁判で負け続ける形になりました。そして、裁判所から「払え」と言われても、実際には支払わずに過ごしていました。
フランスへの移住
ひろゆき氏は2015年ごろにフランスに移住しました。表向きには、結婚相手のビザ問題や海外での新しい仕事が理由だと言われていますが、「日本の賠償命令から逃げるためでは?」と疑う声もあります。
彼自身は「もう時効になっているから払わなくてもいいんだ」と主張しています。日本の法律では、裁判で負けても10年経つと支払う義務がなくなる(時効になる)というルールがありました。2000年代前半に負けた裁判なら、2015年ごろには支払いの必要がなくなった計算です。
しかし、批判する人は「フランスにいることで日本の強制執行(差し押さえ)を受けにくくしているだけ」と言います。ひろゆき氏は「悪いのは法律のほうであって、自分が悪いわけじゃない」とも話しています。
なぜ踏み倒せたのか
昔の日本では、損害賠償を命じられても、相手が資産を隠すなどすれば、強制的に取り立てるのが難しいという弱点がありました。ひろゆき氏は、裁判でわざと負けて支払いを無視し、10年の時効を待つという方法をとったと言われています。
しかし、2020年に民事執行法という法律が改正され、賠償金を払わない相手に対して「財産を開示しなさい」という命令を出したり、それに従わない場合は罰則を科したりできるようになりました。これで完全な「逃げ得」はしにくくなったのです。
実際、ひろゆき氏も2021年に名誉毀損裁判で初めて賠償金を支払ったと発表しました。新しい法律によって、逃げ続けると罪になる可能性があるから、しぶしぶ払ったというわけです。
ネットでの反応
ひろゆき氏の「踏み倒し」については、ネット上で意見が分かれています。「裁判所に払えと言われたのに、払わないのは無責任だ」「法律のすき間を使うなんてずるい」という批判もあれば、「法律違反じゃないからセーフ」「司法の仕組みが悪い」と擁護する人もいます。
ひろゆき氏がテレビやSNSで誰かを批判すると、「あなたこそ賠償金を踏み倒してきたんじゃないの?」と批判されることも多いようです。彼が広告に出ると、その企業に対して「踏み倒し男を使うの?」という声が上がることもあります。
まとめと今後
ひろゆき氏の踏み倒し問題は、日本のインターネットや法律の穴を象徴する出来事です。昔は強制的にお金を回収する方法が弱かったため、賠償命令を無視できる状況でしたが、今では法律が変わり、同じことをするのは難しくなっています。
もし今後またひろゆき氏が裁判で負けたとしても、昔みたいに払わずに逃げるのは難しいでしょう。ただし、フランスに住んでいたり、日本にほとんど資産を持っていない可能性もあるので、実際どうなるかはわかりません。彼自身は過去の「踏み倒し」を話のネタにすることも多く、炎上しても注目度が上がるのをプラスに考えている節があります。
この問題から私たちが学べるのは、法律のすき間があれば誰かが利用してしまう可能性があること、そしてネット上での書き込みで誰かの名誉を傷つけたら責任が問われることなどです。ひろゆき氏の例は、法改正にもつながり、今の制度に変化をもたらしました。
今後も、ひろゆき氏の「踏み倒し」問題はたびたび話題になるでしょう。彼が過去の賠償金を払うかどうかはわかりませんが、同じように払わない戦術は今の法律だとやりにくくなっています。これも日本のネット文化と法律の成長の一つの例と言えるでしょう。
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