経済アナリストで大学教授の森永卓郎さんは、重い糖尿病や末期がんを経験しながら、さまざまな民間療法や生活習慣の工夫を試してきました。ここでは、森永さんがどんな方法を選び、どう向き合ってきたのかを中学生にも分かりやすいようにまとめます。
森永さんが試した民間療法
がんの免疫療法
森永さんは2023年末、「ステージIV(最初は膵臓がんと診断されたが、後に原発不明がんとされた)」と分かりました。最初は「アブラキサン+ゲムシタビン」という抗がん剤治療を受けましたが、副作用がひどく「自分には合わなかった」といいます。治療中に危うく命を落としかけるほど体調が悪化したため、主治医と相談して抗がん剤をやめました。
代わりに選んだのが、免疫療法です。具体的には、保険が使える「オプジーボ」という点滴治療と、自由診療(全額自己負担)で「NK細胞療法」という免疫細胞を増やす治療を組み合わせています。こうした併用は本来、保険診療と自由診療を混ぜることになるため難しいケースですが、末期がんで延命目的の場合はほぼ黙認されているようです。
森永さんは「今年の桜は見られないだろう」と言われた状態から免疫療法を始め、治療後5か月たった時点で体調は大きく悪化していないそうです。免疫療法でがんが完治したわけではありませんが、病状の進行を遅らせていると感じているようです。
なお、がんを公表してから「太陽を拝むとよい」「毎日笑えば治る」など、さまざまな民間療法を勧められましたが、森永さんはどれも試さなかったそうです。根拠がないものには手を出さない慎重さを持ち、「太陽を拝むだけで前向きになれる理屈がわからない」と語っています。
ダイエットと生活習慣の変化
糖尿病克服の低糖質ダイエット
森永さんは50代のころ、重い糖尿病で血糖値が危険なほど高く、インスリン注射が欠かせませんでした。そこで2016年ごろから「低糖質ダイエット」に本気で取り組んだところ、わずか4か月で約20kgの減量に成功し、血糖値も大きく改善。薬や注射もやめられるほどになりました。
このダイエットでは、炭水化物(糖質)を減らし、豆腐・肉・野菜などを中心に食べる方法をとりました。ライザップのプログラムなども参考にし、安い食材でも工夫次第でやりくりできたそうです。体重が減っただけでなく、尿路結石などの悩みも和らいだようです。
末期がんと向き合う生活
しかし、末期がんと診断されたあとは、「好きなものを食べ、タバコをやめない」という選択をしています。医師から「余命4か月」と言われたため、無理をしてストレスを抱えるより、自分が納得する生き方をしたいと思ったからです。「限られた時間、好きなことをして、やりたい仕事に集中したい」という考えに切り替えたといいます。
森永さんの言葉から学ぶ健康管理
- 「4か月で20kg減、糖尿病改善」
- 食事と運動をがんばれば、薬に頼らなくても血糖値をコントロールできた例。
- 「抗がん剤が合わなかった」
- 抗がん剤自体を悪いと言っているのではなく、自分には副作用が強すぎたという判断。
- 「免疫療法で現状維持」
- 完治はしていないが、体調の悪化を抑えられていると感じている。
- 「民間療法の助言は試さなかった」
- 科学的な根拠がない提案には慎重になり、むやみに飛びつかなかった。
- 「がん保険は不要」論
- 標準的な治療のみなら高額療養費制度などで費用がカバーされるが、自分のように自由診療(免疫細胞療法など)を受ける場合は多額のお金がかかると説明。
- 「不安や恐怖を感じる暇がない」
- 好きな仕事や、やりたいことに集中しているため、あまり落ち込む余裕がないと語っている。
民間療法のリスクと注意点
- 高額な費用
- NK療法など自由診療の治療費は非常に高く、毎月100万円以上出ていくこともある。
- 科学的根拠の不足
- 「○○を飲めば治る」という話などは、エビデンスがないものが多い。
- 副作用や体質の違い
- 標準治療でも人によって合う・合わないがある。自分に合わない治療は無理せず主治医に相談。
- 体力・栄養の管理
- がんの進行とともに体重が落ちる「悪液質」に気をつけ、栄養をしっかり取ることが大切。
- QOL(生活の質)を考える
- 治療によるストレスで生活の質が下がるより、自分が納得できる過ごし方をする選択もある。
まとめ
森永卓郎さんの体験は、病気への向き合い方や治療法の選び方にいろいろなヒントを与えてくれます。糖尿病には食事や運動で立ち向かい、がんには標準治療と免疫療法を組み合わせました。どんな治療を選ぶかは人それぞれですが、自分の体調や考え方をよく知り、納得したうえで行動することが大切です。森永さんが「悔いのない人生を送るために真実を伝え続ける」と話すように、まずは正しい情報を集め、自分に合う方法を選びましょう。
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